世界各国、日本各地から旅の魅力全てをおおくりする、旅の専門チャンネル

旅チャンネル

SKY PerfecTV!、ケーブルテレビでオンエア中!

番組表視聴方法



VIDEO/DVD/本 旅チャンネルとは さきどり情報 今月の新番組 番組名で探す エリアで探す ジャンルで探す ホーム
ホーム > 番組情報 > グルメ > 漁師町ぶらり~食と笑顔を訪ねる海岸線の旅~ > バックナンバー > 漁師町ぶらり~食と笑顔を訪ねる海岸線の旅~#5
ON AIR SCHEDULE
#3
8/3(日) 12:30~13:00
#4
8/10(日) 12:30~13:00
#5
8/17(日) 12:30~13:00
#6
8/5(火) 24:00~24:30
8/24(日) 12:30~13:00
#7
8/12(火) 24:00~24:30
8/31(日) 12:30~13:00
#8
8/19(火) 24:00~24:30
9/6(土) 12:00~12:30
#9
8/26(火) 24:00~24:30
9/13(土) 12:00~12:30
#10
9/2(火) 24:00~24:30
9/20(土) 12:00~12:30
#11
9/9(火) 24:00~24:30
9/27(土) 12:00~12:30
#12
9/16(火) 24:00~24:30
#13
9/23(火) 24:00~24:30
#14
9/30(火) 24:00~24:30

BACK NUMBER

MENU

漁師町ぶらり 食と笑顔を訪ねる海岸線の旅

漁師町旅日記 漁師料理指南 プレゼント
漁師町旅日記
#5 日本海、北陸の旅がはじまった。
関越自動車道は、藤岡インターチェンジから信越自動車道へ。
桜前線はようやくこの辺りを通過しているとみえ、下仁田は名物のコンニャクよりも花が盛り。窓を開けると、温もった土の香りが風に乗った。
「佐久かよぉ、鯉こくだなぁ・・」
車好きで寡黙なカメラマンが、突然つぶやく。"ロケ車は日産エルグランド3.5を"と、自ら強く指定して、鯉こくも好きだったとは大笑い。車内には、ディレクター加藤、プロデューサー海野、カメラマン紀野、Mcトモちゃん、AD村っちぃ、そしてオレの総勢6名。全国行脚も5回目となれば、人は我々を"ぶらり軍団"と呼ぶ。
写真写真
写真写真 千曲川沿いに北上を続けて、妙高高原に気づけば新潟県だ。
上越市から北陸自動車道に乗ると、やがて前方に日本海が広がった。山と平野と川ばかり見つめて400?、青い海原は忘れかけていた開放感を呼び覚ます。
「漁港じゃないの? 下りようぜ」
右肩下に漁港を見つけて高速を下りる。昼の名立漁港はコンクリートの長い堤防が、日射しを受けて海へ伸びる。久しぶりに見る日本海の堤防は、遠目でもやはり高い。誰かがいる、行ってみよう。
港をぐるっと回って、立入禁止破りの釣り人梯子を登る。堤防は幅6mはありそうで、下をのぞき見ると10mはありそうで…外海側の壁はさらに高く、消波ブロックの白い頭が見える。時化る冬は、ここを荒波が飛び越えるのだ。
「ワカメを採ってんですよ、いやぁ6mの釣り竿に更に竿を継ぎ足して、手の長さですからねぇ…」
「オジチャン、落ちないでよ。ほらぁ、危ないよ」
堤防に這いつくばって、10m下の水面に手を伸ばす。そこにはゆらゆらと、春のワカメが揺れているのだった。中年男が、カアチャンと一緒に信州からやって来たんだそうな。竿の先には小さなカマが結んであり、切れたワカメが水面に漂う。それを追って短い腕を伸ばす。オジチャンよぉ…すっかり夢中で、危ない危ない。
堤防の先端に灯台があって、遠目で感じたよりはるかに大きい。オレは赤い灯台がなぜか好きだ。鉛筆のようにツンと立っていて、堂々とした白い灯台より控え目でいい。見渡す海は青い空に同化して、鏡のようにぴたりとして動かない。遠くの船も、まるで海に張り付いているがごとく。春とはいえ、こんな日本海も珍しい。
写真写真
写真写真 海岸線は国道をそのまま下ると、"寂れた"とは失礼ならば"趣ある"家並みを見つけて、車を止める。
海にせり出した長屋風は、砂浜の1階が船屋ならば2階が住まいか。丸太で組まれた20軒ほどの長屋は、朽ち果てているようでそうでもない。新しい漁具が積まれていたり、2階にはカーテン越しにテレビも見える。
「釣りにでも行こうと思って…専業漁師じゃないよ」
船屋から船を出している人がいた。聞けば長屋は50年ほど前から続くもので、数年前の大風で半壊してしまったらしい。今は隣りに新しい漁港ができて、こちらは物置になってしまったようだ。オレが少年時代を過ごした新潟の出雲崎も、同じ漁師町が海岸線に連なっていた。あれから40年、出雲崎にはすでに無い。
近隣の漁協と合併したため、能生漁港の建物には"上越漁協地方卸売市場"とあった。大きな漁港には刺し網やら定置網の漁船がひしめき、長い網を広げて修繕している漁師たちがいる。のんびりと、何を話しているのだろう。
「鯛を捕る網だよぉ。今日かい? 昨夜まで大時化だったんで、今日の漁はねぇよ」
昨夜が時化? 今、こんなに穏やかなのに?  う~ん、海のことは、素人じゃ理解できんなぁ。市場内は休みだけに深閑として、海風だけが遊んでいる。
写真写真
写真写真 地元の魚屋を教えてもらって帰り際、漁港の波打ちに妙な物体を発見。
水深は30cmほどだろうか、よく見れば巨大なナマコである。 
「ナマコがいたぁ! 竿貸してぇ~!!」
「ナマコだぁ? ここいらじゃ捨てるモンだけぇ…」
ぶつぶつ言いながら、漁師は鈎棒を漁船から持ち出してやってくる。2度3度と失敗しながら、ナマコはようやく足元へ。手に持ってみれば、ずっしりと重く棘が張った極上モン! オレは嬉しくてたまらんのに、漁師は妙な顔をオレに向けて去っていく。
魚屋は"加藤鮮魚店"といい、旧道の能生郵便局の隣り。ゲンゲの干物があったり、ドロエビと称する泥だらけのエビがあったりで、よそモンは何を見ても奇声を上げる。メギス? ネギス? ニギス…かぁ! キスに似た面構えのニギスは、脂がのっていて美味。1串を250円で買えば、村っちぃが泥エビもと言う。どれもみんな、今夜の酒の肴か。
「アンタらぁ、今日は時化で魚が無いんだよ。能生の市場だって、明日行ってごらん。時化の後だもん、びっくりするほど魚が揚がってらぁ」
 ……。急ぐ旅でもなし、軍団一同は暗黙の了解。その夜はほどほどにして、翌日も能生漁港へと出かける。
写真写真
写真写真 いたよいたよ、加藤鮮魚店のオヤジがキャップ帽を後ろにかぶり、忙しそうに行ったり来たり。割烹着姿のオバチャンも市場の活気のせいか、昨日よりずっと元気がいい。足元のクロソイは6?はあろうか、北の魚だが500gが普通サイズのはず。加藤さんは手を横に振り、旨くないという顔をして去っていく。
30?はあろうアンコウが横たわり、ヒラメやメバルの箱がずらりと並ぶ。近年"幻の魚"などと言われ出したノロゲンゲも箱に入り、漁協の競り人は大声で何やら数字を叫んでいる。
オバチャンは軽トラに仕入れた魚を積んでいて、台車が動くのでちょっとお手伝い。軽トラとはいえ幌の天井まで山積みで、とても町の魚屋の仕入れとは思えない。聞けば得意先のほとんどが東京の料理屋で、まいにち発送しているのだそうな。昨日とは様変わりの忙しさに、やはり逆戻りは正解。今日はオジチャンの言う通り、びっくりするほど大漁だったぜ!
エルグランドは富山へと急ぐも、途中またもや気になる漁港を発見。恐る恐るのぞいて見れば、真っ赤な甘エビの水揚げ真っ最中だった。船は次から次へと、甘エビを満載して帰ってくる。漁師はよそモンになど、口もきいていられない忙しさ。船で大きさごとに仕分けられた甘エビは、白い発砲箱に積まれて港内に運ばれる。
「基本的にここは工業港ですからね。漁港ではなく、今は上越漁協浦本支所なんです」
 漁協職員が申し訳なさそうに説明するのは、やがて能生の漁協本部に組み込まれるからなのだろう。港内の床ではオバアチャンが小さくなって、雑多な魚を仕分けている。のぞき込めばやはりノロゲンゲだったり、ビクニンだったりで、関東では見慣れない魚が多い。
写真写真
写真写真 港の隅では、人々が何やら作業中。近寄ると僅かに腐臭がして、海から揚がったばかりの漁師たちが網から魚を外しているのだった。深刻そうな表情とは裏腹に、魚を網からちぎり取っては投げている。おびただしい数はカニあり、アンコウあり、カレイあり…どうしたんだろう。
「時化でよぉ、刺し網を揚げられンかった…。いい日ばっかじゃねぇ」
青い上下の雨合羽姿は船頭だろうか、悔しそうな顔を、オレは直視できない。隣りは、甘エビの大漁である。時化の後はいい…だって? 泣いている漁師も、同じ場所にいたのだった。網がたぐられていくほどに、魚はうずたかく積もる。腐臭はますます強くなって、カモメさえ寄りつかない。
「毎日の仕事だよぉ、明日も網ぃ入れるさ」
足のちぎれたカニを海へ落として、行方を見つめる。
深みへわずかに泳ぐ姿は、嬉しそうでもある。
旅はぶらりと、次へ向かうとしょう。
 

 釣り曜日 西潟市場

「釣り曜日」
(株式会社エンターブレイン運営サイト内)
「西潟市場」好評連載中!


1953年 新潟県に生誕。
「食と笑顔」を人生のテーマに、旅と取材と執筆活動を続けている。
現在、アウトドア誌で「食」に関するエッセーや、日刊ゲンダイ「市場食堂で食う」(写真も)などを連載中。
 
   
Copyright (c) 2007 JIC All Rights Reserved.

お問い合わせ
■JIC-Phone : 03-3253-6611 (平日10:00~17:00)  ■FAX : 03-3253-6655  ■E-Mail : info@tabi-ch.net