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初回放送: #28 5/20(火) 21:30-22:00 ほか |
#28 シラス漁神奈川県内のシラス漁は3月11日に解禁となり、今が最盛期と聞けば行かねばなるまい。三崎からそう遠くない三浦半島の相模湾側に位置する佐島漁港は、よく知るところであり、シラス漁を営む「山茂丸」の岩崎さんとのつきあいも長いのだ。そんなこともあって、この日はシラス漁船に同乗することになった。 出船は夜明けの5時過ぎだった。岩崎さん親子2人が操業する漁船は、漁港を出るとすでに魚群探知機(魚探)を真剣な眼差しで見つめている。船はどんどん走る、魚探はくるくると色模様を変えていく。あたりまえだが、素人にはどれがシラスの群れかなどまったくわからない。船はまたもや、あっちへ行ったり戻ってみたり・・。 |
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ここでまた、今回はシラスの勉強をしたい。シラスという魚は、実はいない。シラウオやシロウオは存在するが、それは別種の魚。シラスとは主にイワシの幼魚をいうのだが、イワシという魚も実はいないからややこしい。ここでは便宜上、一般にイワシの仲間としよう。その仲間とはマイワシ・カタクチイワシ・ウルメイワシの3種であり、これらの2~3㌢ほどの幼魚を「シラス」と呼ぶ。 ではなぜ、神奈川県では1月1日から3月10日まで禁漁になるのか。これらシラスの群れには、他の魚の幼魚も混じるのは当然のことで、川に遡上するアユの幼魚が混じる時期を禁漁としている。この時期は地方によって異なるので、シラス漁は県条例によって期間が決められるのだ。
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さて、シラスを追いかけている「山茂丸」は、どうやら気に入った群れを見つけたようだ。操舵する親父が「あぁ」とも「おぉ」ともつかない声で合図すると、息子は大きな赤い浮標を海へと放り投げる。同時に太いロープが音をたてて、海へと流れ出る。 「ロップ踏むなぁ!」 漁師の発音はすべてが簡潔、ロープはロップでないと仕事はできない。船は大きく半円を描いて、これで100㍍。片側の網が流れ出て、円周は200㍍になる。最初の位置に戻ると赤い浮標を拾い上げ、円を描いた網はゆっくりと引っぱられていく。やがて船尾に2本のロープが平行に並ぶと、揚網機のエンジンが唸り出した。 |
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絞られた網がぐんぐん引っぱられると、朝日がその真ん中に入って美しい。 「シラスは、太陽に向かって泳いでんだべなぁ」 漁師は、ときに詩的な表現をする。揚網機の唸りはさらに強まって、ロープはすでに網目に変わっていた。この最初の網目の1辺が、50㌢もあるのだ。網目は徐々に小さくなって、やがてガーゼのような捕り込み網にシラスの群れは一網打尽となるのだ。群れの習性は、大きな網目も障害物としてしまうようだ。 |
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群れはよほど大きかったのだろう、ガーゼ状の捕り込み網は重みで破れそうじゃないか。岩崎さんは2回・3回と分けて大バケツにシラスを流し入れる。魚網の底がファスナーになっていて、重さから解放されたシラスがバチバチと跳ね飛んでいる。 「食ってみろよぉ! これが、生シラスだぁ」 バチバチとした1つまみは、これで100匹もあるかもしれない。指ごと口に入れれば、なんだか海を丸ごと食べているよう。旨いというよりも、すごいことをしているという興奮が先にたって、やがて口いっぱいに広がる海の味に気づくのだ。大バケツは、次から次へと満杯になっていく。足の踏み場もない状態のなかで、もう1つまみ。羨ましそうにしているカメラと、その後ろの「ぶらり軍団」に手渡せば、カメラも音声も一時中止の、旨ぁい!!の大歓声が海原を駈けていく。
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午前中で大バケツに14杯も捕れば、今日は限界である。帰ってから茹で上げる作業に、3時間もかかってしまうと、息子も嬉しい嘆き。シラスは氷で冷やしながら、全速力で漁港の加工場へ。近代化された工場では、すでに湯が沸いていて、真水で洗われたシラスは1分ほどで雪のように真っ白に茹であがる。これが「釜揚げシラス」で、ちょいと失敬でつまみ食い。これが、またたまらない。生シラスとは違った、まさに海の飯! |
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サバの幼魚などが混じった、やや大きめで商売にならないシラスを釜揚げにして干場へと向かう。釜揚げシラスはここで天日干しにされるのだが、海に向かって一面に広がった光景も圧巻である。いつもはタコやイカなどの幼魚を拾って食べるのだが、今日はサバの幼魚が多く、これを食べる。3㌢ほどのサバだが、サバを頭から丸かじり。これでもサバの味がするのだから、遺伝子はすごい働きをする。 岩崎さんの奥さんが、気を利かせて飯を炊いてくれたのだ。飯は少なめにして、茶碗にたっぷりとシラス干しを盛る。これでもかと、崩れそうになるまで盛る、これがシラス飯の基本だ。いや、こんな贅沢はこの場でしかできないだろう。陸の米に海の米をてんこ盛りにして、食らいつく。この爽快感、この幸せ!
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